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外壁塗装で【光触媒】を考えている人に伝えたいメリット・デメリット

外壁塗装で【光触媒】を考えている人に伝えたいメリット・デメリット

一般に新築の戸建ての屋根や外壁は10年経つと塗替えの時期になると言われています。環境によって異なりますので、10年経過したから塗装を行わなければならないわけではありません。あくまでも目安にしていただき、劣化の経過を観察しつつ塗替えを行うと良いでしょう。
そこで、最近注目を集めている『光触媒』についてご紹介したいと思います。

光触媒とは?

今回ご紹介する『光触媒』ですが、その前に触媒とは何かから簡単に説明します。
触媒とは、一般に特定の物質だけ反応したり、生成する働きがあり、化学反応の反応速度を増加させる物質のことです。そのもの自身に変化はなく、消費・再生を繰り返す物質を触媒と呼びます。光触媒とは、光を吸収することによって化学反応をおこす個体材料のことです。光触媒としてよく使われるのが、酸化チタン(TiO2)という物質で、二酸化チタンと呼ばれることもあります。この物質(酸化チタン)に光(紫外線)が当たり、活性酸素が発生します。
光触媒の化学反応は、有機化合物や細菌などの有害物質を除去でき、大気浄化・脱臭効果・浄水効果・抗菌効果・防汚効果が得られます。有害な薬品などを使用せず光を利用するため、分解されにくい有機化合物などを安全かつ容易に分解することができ環境にも優しくなります。

光触媒のメリットとは

【セルフクリーニング効果】
光触媒塗料の最大の特徴は、汚れにくくするセルフクリーニング効果があることです。
光触媒塗料に光があたると活性酸素が発生し、表面に付着した汚れ(有機化合物や親油性の汚れ)を分解し、水で洗い流されやすくなります。
また、親水性がある(水が表面になじみ、玉にならない)ことにより、水は膜のように広がり、水が塗膜と汚れの間に入り込み、浮き上がらせて洗い流します。
つまり、雨が降るたびに壁に付着した汚れが落ちるため外壁の汚れや劣化を簡単に防ぐことができます。また、臭いの除去や抗菌といった効果を得ることができます。

【紫外線から外壁を守る】
外壁や塗膜を劣化させる原因の一つとして、紫外線があげられます。
光触媒は、光(紫外線)があたることにより化学反応が起こるため、劣化させる原因となる紫外線から外壁や塗膜を守ることができます。(紫外線吸収剤等が配合された材料の場合、紫外線をカットします。)

【空気浄化!環境にやさしい】
酸化チタン(TiO2)は紫外線を浴びると活性酸素という物質を発生させ、大気汚染物質の一つである窒素酸化物(NOx)を分解します。
広葉樹の中で空気浄化能力が高いと言われているポプラの木で比較した時に、製品にもよりますが、施工面積1,000㎡で、約100本分の効果があると言われています。(株式会社ピアレックス・テクノロジーズのピュアコート水性の場合)

【他の塗料と比べて耐用年数が長い】
アクリル系塗料で約4年、ウレタン系塗料で約6年、シリコン系塗料で約10年の耐用年数を持っていますが、光触媒塗料は約20年持つと言われています。

光触媒のデメリットとは

【色が限られる】
光触媒塗料は酸化チタン(TiO2)を多く含んでいるため、酸化チタン本来の色である「白」が強く出てしまい、鮮やかな色や濃色を出すことは難しく、つやのレベルも制限されてしまいます。
一度外壁を塗った後に光触媒コーティングを施工することもできますが、下地の色や使用する塗料の選定に注意する必要があります。

【施工が難しい】
光触媒塗料はサラサラとしており水のような状態のため塗った時に垂れやすく、ほかの塗料と比べて乾くのが遅いといった性質もあります。そのため施工が難しく専門性が必要な上に、施工日の天気や気温などに注意する必要があり、業者選びが難しいことやトラブルの原因になることが考えられます。
業者選びの際は実績を参考にするなどして、慎重に行いましょう。

【分解できない汚れがある】
メリットでセルフクリーニング効果の話をしましたが、残念ながら万能ではなく、分解できない汚れがあります。光触媒は無機質の汚れには対応していないため、錆や土などは分解できません。また、鳥のフンなど限られた部分に過度な汚れが付着した場合、分解が追い付かずに外壁が汚れてしまうため、ご自身で汚れをきれいにする必要があります。

【光(紫外線)や雨があたりにくい場所では、効果が薄い!?】
光触媒塗料に光(紫外線)があたると活性酸素が発生し、表面に付着した有機物や親油性の汚れを分解し、水で洗い流しやすくするというメリットは上記でお伝えしました。ですので、利点が活きにくい場所、つまり光(紫外線)や雨があたりにくい場所では、効果を十分に発揮することができないということになります。

【光触媒塗料を塗った後の塗膜はシリコン塗料よりも硬くなる】
 光触媒塗料は塗ったあとの塗膜はシリコン塗料と比べ硬くなってしまいます。そのため、シリコン塗料の場合に表面化しなかったひび割れが、光触媒塗料の場合は表面化する可能性があります。

【耐用年数は、施工の技術と下地で大きく変化する】
先ほど耐用年数は約20年と話しましたが、実際は、施工の技術と下地によって耐用年数が変わります。光触媒の塗料の効果が維持されたとしても、下塗り塗料の剥がれや下地の割れが起きた場合は、上に乗せた光触媒塗料にも影響が出ます。
 また、光触媒塗料は販売を開始してから間もないため、メーカーの公表としての耐用年数20年は、 “促進耐候試験で20年”と考えましょう。

メリット、デメリットを踏まえた上でどのようなポイントを押さえればいいのか

セルフクリーニング効果の活用に“光(紫外線) と雨があたる”場所であれば、他の塗料よりも外壁を確実に綺麗に保つことができ、外壁が長持ちしやすいという点がとても魅力的であり、押さえておきたいポイントだと思います。
光触媒塗料は歴史が浅いですが、最近では外壁だけではなく内装に使うことによりウイルス対策等も期待できるなど、紫外線だけではなく室内でも使える可視光応答型光触媒も出てきています。光触媒塗料は、今とても注目されていますので、これを機にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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