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大規模修繕工事で失敗しないための完全ガイド:計画・発注・施工・引渡しまでの注意点

大規模修繕工事で失敗しないための完全ガイド:計画・発注・施工・引渡しまでの注意点

大規模修繕工事は「予算」「品質」「工期」「居住者満足」のバランスが命。よくある失敗は計画初期に生まれます。本記事では企画〜引渡し後のアフターまで、現場で本当に効く注意点を具体的に解説します。

1.大規模修繕工事とは

  • 目的:外壁・屋根・バルコニー・共用部などの劣化を補修し、防水性・安全性・美観・資産価値を回復/向上させる。
  • 対象:マンション、オフィス、商業施設、工場等。
  • 実施周期の目安:マンションで約12〜15年周期。ただし海沿い・重交通沿道・工場併設など環境で短縮も。
  • スコープ例:外壁調査・下地補修、シーリング、躯体ひび割れ補修、塗装、防水(屋上・バルコニー・開放廊下)、金物改修、設備配管の一部更新、付帯鉄部錆対策、共用部意匠更新など。

2.計画段階の注意点

長期修繕計画を最新化

過去修繕履歴、劣化進行、積立金残高/将来見通しを反映。積立と実需工事を合わせて平準化。

劣化診断の精度を上げる

目視+打診に加え、必要に応じてコア抜き、中性化深さ、鉄筋腐食、赤外線サーモ等を活用。散発的な漏水は散水試験で原因箇所を特定。

スコープの「線引き」

美観回復だけでなく、防水・安全に直結する部位を優先。更新か延命かを部位別に意思決定。仕様は代替案(標準/長寿命/低VOCなど)で比較。

カラー/意匠の事前合意

試験施工やカラーシミュレーションを用意。竣工後の「イメージ違い」を防止。

工期の現実性

台風・梅雨・積雪など季節要因、受電設備停電作業、テナント休業日、学校行事など施設特性を反映。

3.調達・発注の注意点

発注方式の選択

①設計監理方式(設計/監理と施工を分離)
②責任施工方式(施工会社が調査〜設計〜施工)
③CM方式など。物件規模・意思決定スピード・技術的複雑性で選ぶ。

見積取得のポイント

共通仮設・直接仮設・現場管理費・一般管理費を分解比較。数量表の整合と「抜け・ダブり」をチェック。単価は試験施工の実績値で裏取り。

同等品承認のルール化

メーカー指定だけでなく性能基準(JIS/JASS等)で要件定義。代替提案の評価軸(耐久年数、保証、LCC)を事前合意。

契約時の注意

工期・支払条件・遅延損害金・天候順延・想定外条件(アスベスト・PCa内部劣化発見など)の扱い、追加変更の見積ルール、出来形写真・検査・保証範囲を明記。

4.施工準備の注意点

仮設計画(足場・仮囲い・動線)

転落/落下防止、避難経路の確保、車両動線、搬入計画。高所・道路占用は許認可を事前取得。

近隣・居住者コミュニケーション

月次説明会、工事予定表、静音時間帯、粉塵/臭気対策、ペット・洗濯物・ベビーカー動線配慮。苦情窓口と一次回答SLAを設定。

危険物/有害物対応

旧塗膜や保温材のアスベスト含有調査。含有時は法令に沿った届出・隔離・除去・マニフェスト・測定を実施。

品質の事前合意

モックアップ/試験施工で下地調整→シーリング→塗装系→防水系をサンプル確認。仕上がり見本板を保存。

5.施工中の注意点

品質管理(QC)

工程ごとの検査(受入検査、工程内検査、完了検査)。塗装は所要膜厚、ピンホール、付着強度を測定。防水は絶縁/密着の別、勾配、水張り/散水試験で確認。

安全管理(Safety)

KY(危険予知)活動、帯同巡視、吊り荷下立入禁止、熱中症/寒冷対策。第三者災害防止の養生徹底。足場点検簿の整備。

工程管理(Schedule)

クリティカルパスを明示し、雨天順延の予備日を計上。遅延時のリカバリ計画(増員・工程組替え)を事前合意。

変更管理(Change Order)

追加・減額は根拠写真+数量差引で透明化。しきい値以上は委員会承認。暫定対応が恒久化しないよう、設計者/監理者の承認を必須化。

コミュニケーション

週次定例(議事録48時間以内配布)、出来形・不適合・是正のトレーサビリティをクラウドで共有。

6.竣工・引渡しの注意点

検査

事前社内検査→施主検査→第三者検査(必要に応じて)。タッチアップと是正の期限を明文化。

引渡し書類

竣工図、材料/ロット、試験成績、検査記録、保証書、取扱説明書、完成写真、維持管理マニュアル。

保証・アフター

部位別保証年数(防水・塗装・シーリング・下地補修)。保証の起算日、免責事由、定期点検(例:1年/2年)を設定。

7.コスト最適化とライフサイクル視点

  • 目先の工事費だけでなく、更新周期・清掃保守・省エネ効果を含むライフサイクルコスト(LCC)で比較。
  • 長寿命仕様(高耐候塗料、露出防水の高耐久仕様、可とう型シーリング)や、設備の同時更新(照明LED化、インバータ化)で足場を共用し二度手間を削減。
  • 補助金・税制は年度で変動するため、最新情報を事前確認。申請期限・要件の読み違いに注意。

8.トラブル事例と予防策(要約)

事例1:色ムラ・仕上がり不満

原因:試験施工なし、下地不陸未是正。予防:モックアップ・膜厚管理・下地調整の数量確保。

事例2:漏水再発

原因:原因特定不十分、端部ディテール不良。予防:散水/水張り試験、役物の納まり事前検討。

事例3:クレーム多発

原因:周知不足、作業音・臭気配慮不足。予防:説明会・工程掲示・低臭材料の採用。

事例4:追加費用の膨張

原因:既存調査の不足、契約で想定外条件未定義。予防:事前調査の徹底、契約条項の整備、変更管理ルール。

9.杉本興業が選ばれる理由

  • 一貫体制:調査診断〜設計提案〜施工〜アフターまで一気通貫。
  • 現場力:有資格者(例:一級建築施工管理技士等)による品質・安全・工程の徹底管理。
  • 透明性:数量根拠と出来形写真をクラウドで可視化。変更も迅速・明朗。
  • 居住者配慮:静音・低臭仕様、コミュニケーション専任窓口を設置。

最後に 大規模修繕工事の成否は、初期計画とコミュニケーションに集約されます。杉本興業は調査診断からアフターまで伴走し、品質・安全・コスト・居住者配慮の最適解をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

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